博士以前

人間です

就職について

就職先を決めたので就職活動を振り返ってみる。

企業で働くことを考えるようになったのは去年の今くらいだったと思う。研究はまあまあ面白かったし、この業界で最低限死なずに生き残っていくくらいなら出来るだろうとは思っていた。 一方で、自分の分野への興味を維持するのにエネルギーが必要になっている現状を認めないわけにもいかなかった。モチベーションを自分の純粋な興味関心から維持できないのに研究を続ける意味なんてあるのだろうかと考えるようになった。 加えて、アカデミックな世界の厳しいジョブマーケット事情もあった。海外で何年もポスドクをしているけど日本に帰ってこれないという人(それも僕なんかより全然頭が良い)をこれまで少なくない数見てきて、自分が同じような境遇でやっていけるだろうかと考えるとそれも厳しかった(僕は日本の、特に東京での暮らしが好きだ)。

そんなこともあって去年の夏〜秋頃にインターンに参加した。業界としてはいわゆるデータサイエンスや機械学習をやっている会社が親和性が高そうだと思っていて、その中でも業務として面白そうだと思ったところで少しの間働いてみた。 最初は全くやったことのない分野で苦労したけど、教科書や論文を読んで実際に手を動かすうちに段々と慣れていくことができ、思ったよりも楽しい経験ができたので、企業で働くのも悪くないなと思うようになった。この辺りから明確にアカデミアには残らず、就職をしようという意識になったように記憶している。それからインターン先の企業の一つに早々に内定を貰ったので、とりあえずこのまま何もやらなくても食いっぱぐれないという気持ちになったのは、後々就活をする上で大きかった。

経団連という謎の組織のルールがどうなっているかは知らないが、年末から2月くらいまでに合同説明会や気になる企業の説明会に参加し、3月に何回か面接をした。と言ってもすでに内定があり、本当に興味のある企業に絞ることができたのでスケジュール的にはとても楽だった。そんな感じだったので時々しかスーツを着なくて、毎回ネクタイの締め方をググったりしていた。最終的に4月頭には内定が出揃って、インターンに行った企業も含めて最終的な進路を決めねばならなくなった。

しかし、ここで今までまともに将来のことを考えてこなかったツケが回ってきた。どこに就職したいのか自分でもよくわからなくなってしまったのである。 これはインターンで早々に内定が出たことも関係していて、安心感から他の企業の詳しい業務について深く調べていなかったし、人に聞いたりもしていなかった。 朝起きたらA社の方が良いなと思っていたのに、帰宅するとB社で働きたいなと心変わりするような日もあった。 そこで何人かの先輩に連絡を取って相談したり、飲みながら社会人の友達と話したりした。自分のキャリアなるものに対して初めて思いを巡らせたりもした。 それでもまあ先日ようやく決心して内定を受け入れる会社を決めたのだけど、最終的な決め手は結局のところ「この人達と働きたい」というものだった。

人と話すと「やっぱり働きたくないでござる」みたいなことを言ってしまうけど、これまでずっといたアカデミアの世界から外に出て新しい人と関わるのは純粋に楽しみというのはある。 それに仕事内容もどうせやるなら面白いことをしたいと思って選んでいるし、楽しんでできれば何よりである。 もちろん研究だって本当に楽しいのは全体の5%くらいなので、仕事だって似たようなものだろうけれど。 研究をしていて一番面白いのは、対象について自分なりに深く潜って考えて、そこから戻ってくる時に他の人には見つけられなかった何かを持ち帰ることができた時だ。 やることは変わっても、これからもそういう体験ができれば良いなと思っている。